MSN産経ニュース:東シナ海ガス田問題 中国高官「裁判なら日本が勝つ」 不利認める 2008.3.12 01:30

 日本と異なり、中国では言論統制が行き届いているから、政治家や役人が政府の考えに反する事を公に口にすることは滅多に無い。「国際法はヨーロッパでできたものだから、裁判に訴えたら(同じ自由主義社会の)日本が勝つだろう」などと負け惜しみの言葉でお茶を濁してはいるが、これは、中国が自分の非を認めたと考えていいだろう。北京五輪を前にして的外れな論理で他国の領土を略取しようとしている醜態を世界にさらしたくないからだろうか。
 いや、それとも実は日本政府と水面下で妥協が成立し、自分の非を認めたと見せかけて天然ガスをごっそり持っていくつもりではないだろうか。今までの中国を考えると、そうした懸念を拭い去ることはできない。
 ガス田の一部は中国の排他的経済水域にも及んでいるので、中国にも取り分を認めることについては異論はないが、その割合について日本政府がまともな交渉をすることを期待する。



記事抜粋

 共同開発の対象海域などをめぐり日中両国の主張が対立する東シナ海ガス田問題に関する日中協議で、日本側が国際裁判所に結論を委ねることを提案したのに対し、中国政府高官が「裁判に訴えたら日本が勝つだろう」と指摘し、国際法上は日本の主張の方に理があることを事実上認めていたことが11日、分かった。その上で高官は「(裁判で)日本に負けるわけにはいかない」と述べ、国際裁判手続きに入ることは強く拒否したという。
(中略)

 18年から19年にかけての協議で、日本側は「中国の言う大陸棚境界論は30年前の理論だ。(日本に対し強硬的な)中国国内世論が納得する形で協議を妥結させるためにも、国際裁判所の勧告を受けたらどうか」などと、国際司法裁判所や国際海洋法裁判所の審判を仰ぐことを繰り返し提案してきた。国際裁判の手続きには、紛争当事国間の合意が必要だからだ。
 これに対し中国政府高官の一人は協議の場で、「国際法はヨーロッパでできたものだから、裁判に訴えたら(同じ自由主義社会の)日本が勝つだろう」と中国側の不利を認めた。また、その上で「相手がベトナムならばいいが、(裁判で)日本に負けるわけにはいかない」と強調したという。

(中略)

 国家間の境界画定をめぐる国際裁判の判例は、1960年代までは中国が主張するような大陸棚の自然延長論を採用した例もあった。だが、80年代からは、両国の海岸線から等距離に暫定的な中間線を引き、双方の海岸線の長さなどを考慮して一部修正する「等距離原則」が定着している。

(後略)