親や祖父に国会議員を持つ人が同じ選挙区で立候補することを制限しようとする動きがあるようだ。これに対し、鳩山邦夫総務大臣など数名の閣僚も「違憲」だとして反対している。

私も、法律による立候補制限は違憲だと思う。

日本国憲法第44条 
両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。


議院の親の子は立候補禁止という法律を作ると、議院の資格を「門地」によって差別することにならないだろうか。

また、必要性という観点から見ても、法律による世襲制限は不要だろう。

私は、親や祖父に国会議員を持つ政治家はことごとく無能だというレッテル貼りには大いに違和感を感じる。

が、仮に世襲議員は全員無能で、親が残した地盤が無ければ当選できなかったはずであり、国政に害を及ぼすこと大なりと仮定しても、これだけ世襲批判が叫ばれている世の中だ。マスコミに踊らされている大多数の国民の政治家採点項目に「世襲=−20点」という基準がすでに出来上がっているのではないだろうか。ペナルティとしてはそれで十分だと思う。

そもそも、誰を国家の代表者に選ぶかは国民が決めることであり、その判断に全国民が責任を負う(というよりも、負わざるを得ない)ということは民主主義の大原則であろう。「○○な人は議員になるべきでないから立候補できません」という法律が認められるならば、共産主義者の立候補を禁止する法律を阻止する理屈が立てられないぞ。

もっとも、政党が世襲の立候補者の公認を認めない、などの判断は問題ない。親が政治家という人間にロクなヤツがいないと考えるのも、それぞれの政党の自由だ。