北方領土問題について、これまで何度か、2島返還あるいは面積等分の提案がロシア側からあったが、日本が4島一括返還にこだわるため、実現されていない。

 私は、サンフランシスコ平和条約で日本が放棄したのは択捉島よりも南側の千島列島であり、択捉島を含む北方領土は日本領であると考えている。
 とはいえ、戦争で奪われた領土は戦争に勝利することによってでしか取り返せないのが基本であり、沖縄返還などは領土的野心を持っていると思われたくないアメリカの事情による特殊例だと思う。話し合いで領土が戻ってくることなど滅多にない。

 ロシア経済危機の時に金銭買収を持ちかければ、その時であればロシアは応じたかもしれないが、今やロシアは地下資源の輸出で潤っており、もはや過ぎた話である。

 では、日本はロシアと戦い勝利する見込みはあるか。無いだろう。自衛隊はモスクワに指一本触れることはできないが、ロシア軍は東京に何百発のミサイルを落とすことができる。そして、日本が主導する戦争にアメリカの援軍は期待できない。日本単独でロシアと戦うには、莫大な軍事費が必要だろう。4島一括返還にこだわる人には、その覚悟があるのだろうか。

 それを考えると、択捉島の7割はあきらめ、国後島、色丹島、歯舞諸島、択捉島の3割で妥協することも、そう悪くは無いと思う。


 戦争は視野に入れず、口先だけで4島一括返還を唱える意義も無いわけではない。日本は領土問題で一切妥協しないというポーズを示すことで、竹島を占拠する韓国へのアピールにはなるかもしれない。

 しかし、強情な世論の韓国が対話によって竹島を返す可能性は皆無であり、それは考慮する必要は薄いと思う。


 もっとも、4島一括返還にこだわる強硬な世論があることは外交交渉上有利であり、面積等分に反対意見があることはむしろ望ましいとも思う